21 OCT, 2020

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TEN TEN TEN...
 

グエナエル・ニコラのモノへのこだわりを形にした、新しいプロダクトコレクションが生まれました。 グラスやカップ、ポットなど、日常的に使う物が、機能と用途そのままに、みんな同じ形だったら?という想像から生まれたそのコレクションは、「TEN TEN TEN...(テンテンテン)」。 別々の機能、多様な素材、異なる大きさのアイテムを、同じ角度の微妙な傾斜をつけた円筒形、というフォルムで統一して製作した共同プロジェクトです。 文化的な背景から観念的に与えられた形状から逸脱し、その品物の本質、素材や機能、造られる過程で培われた技にフォーカスし、さらにその魅力を引き出したいというニコラのプロダクトへの熱意が、このコレクションの源となりました。ここから生まれるのは、先入観なく、新しい見方で捉えることのできる、境界のない「モノ」。日々私たちを囲む「モノ」の既存の類型に疑問を投げかける、という、初めての挑戦です。

「TEN TEN TEN...」のアイテムに統一して与えられた共通のフォルムとは、70度の傾斜をつけた円筒形という極めてシンプルなもの。その微妙な傾斜をつけることで、アイテムを手に取り使う人と、作る側との間に視覚的なコミュニケーションが生まれると、ニコラは考えます。 単に生命の宿らない静物としてとらわれがちな「モノ」でも、少し変わった形を纏うことによって、その佇まい、置かれる場所や姿、手に取る時の所作を掌ることができます。そのような感覚を、使う人と共有する愉しさが、このコレクションに示されています。

このコレクションを作るにあたり、京都の老舗、西陣織の細尾と協力し、多様な技と仕上げを取り揃えるため、京都を中心に優れた伝統技術の職人に参加を呼びかけました。驚いたことに、声をかけた職人・作家・メーカーが、揃ってこの取り組みに参加し、それぞれの見事な技術とノウハウを駆使した素晴らしいコレクションを作り上げることができました。現在、製品化された12種類に加え、さらに多様な企業、職人とのコラボレーションを広げ、より多くのアイテムを作りたいと考えています。



 

京都を代表する西陣織の老舗、細尾の美しい織物で包まれた、その正体はユニークな茶櫃。 捻って開くと、中から同じ傾斜で整えられた茶器が現れます。 伝統的な金網製法を貫く金網つじ・辻徹氏による手編みの籠が、そのベースになっています。

 

同じ角度の傾斜で統一された急須と湯呑みは、400年の歴史を持つ朝日焼きの作家・十六世松林豊斎氏によるもの。


 

茶筒は日本で最も長い歴史を誇る老舗・開化堂で作られました。

 

涼しげなグラスは、京都・祇園の吹きガラス作家・佐藤聡氏の「PONTE」の作品です。


 

釘を使わず美しく仕上げる、伝統的な木桶の技術をワインクーラーに。 中川木工芸・中川周士氏の作品です。


 

漆器の工房・3代西村圭功漆工房の手がけた菓子器。漆の色彩が特徴的です。

 

「TEN TEN TEN...」
コレクション参加アーティスト

細尾

金網つじ

松林豊斎

開化堂

PONTE

中川木工芸

西村圭功漆工房

PHOTO: MASAYUKI HAYASHI

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