2 NOV, 2021

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TENJIN BUSINESS CENTER BY CURIOSITY AND OMA
 

福岡の中心、天神エリアに登場した天神ビジネスセンターは、アジアのビジネス拠点としての発展を見据えた大規模再開発「天神ビッグバン」プロジェクトの先駆となるビルです。 ピクセル化されたファサードが特徴的なビルは、重松象平氏率いるOMAニューヨーク事務所によって設計されたもので、ヒューマンスケールに合わせ溶けるように削られた部分から、ビルの内部をあらわにしています。 キュリオシティは、その内部、メインアトリウム、エントランスロビー、パブリックスペースのデザインを担当しました。

インテリアのテーマを考える上で、その発想の種となったのは、ハイテク産業をはじめとした世界的な企業、有望なスタートアップ企業を迎えることを期待されるオフィスビルとしての役割です。アトリウムの中央に浮かぶ、ブルーのピクセル、大きなガラスの立方体は、天神地区に集まる企業の、デジタルテクノロジーの未来を象徴したものです。

パワフルな創造性とポジティブ感覚を注ぎ入れ、そこで働く人々に反映させる、そんな未来のオフィスの姿を、天神ビジネスセンターが予告編として見せてくれるでしょう。

 

ファサードを通して屋外からも見えるこのキューブは、強烈なフォーカスポイントになり、外観のピクセルともリンクしたその姿は、ビル全体のアイコンとしても印象付けます。

 

OMAによるモザイク状のファサードから透かして見える、温かい輝きを帯びたアトリウム。メインアトリウムを取り囲むように浮かぶ照明、そこから放たれる繊細な光に、デジタルと未来を感じさせる空間が絶妙に調和しています。垂直のラインに整った照明は、ビルの各所で見られます。

 

活気に満ち、温かみのあるインテリアを生み出す、壁面を覆うブロンズカラーのメタルメッシュ。パブリックスペースに柔らかさと驚きの感覚を与えます。メタルメッシュの振動がアトリウム全体を包み込み、透明感と硬質の同居する構成で演出された壁や窓まで行き渡ります。 メタルのインダストリアルな質感とデジタル感覚を表すブルーのキューブが、産業の歴史と未来を称えるかのように対話を繰り広げます。

 

上階のロビーフロアに到着。こちらにも垂直の照明を施すことで、シークエンスが生まれます。

 

厳選したアート作品を丁寧にキュレーションすることで、インテリアのテーマを完全なものに仕上げました。ダニエル・ビュレンのグラフィカルな作品が、上階でビジターを迎えます。宙に浮くように吊るされたオブジェが、グラフィカルで彫刻的な構成でメインロビーをさらに印象強いものに。

 

ブルーのガラスキューブに包まれたロビーを強調する、ダニエル・ビュレンのアート。


 

天神ビジネスセンターのために作られた特別な家具コレクションは、カッシーナ・イクスシーとのコラボレーションによるもの。この時代ゆえの課題として、公共の空間においても、隠れ家のような安心感、プライバシーを感じられるスペースを作ることが求められます。縦のラインのエレメントによるアイコニックな形状が、距離感とプライバシー感覚を生み出し、インテリアを構成する要素となり得ました。

 

傾斜したソファが醸し出す親和性に満ちた交流の空間。 座った時の傾斜が生む驚きが、リラックスして空間を楽しむ時間に誘い、コミュニケーションを促すことで、ユニークなサロンを創り上げました。

PHOTO: SATOSHI SHIGETA

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