7 APRIL, 2015
グエナエル・ニコラが、東京都心にある自邸を完全改装いたしました。 「東京という常に変化を続ける都市に住み、かつ旅の多い私は、家に時間を超えた、原始的とも言えるような平静な場を求めました。相反する要素と感情を交錯させることで、調和とやすらぎの場を作り上げました。対照的な素材、形、量感を用いることで、素朴でありながら洗練された感覚、ダークかつ重量感と明るさ、柔らかさの掛合いというように。また、スペースが充分ではない日本のインテリアでは、従来とは異なるバランスや構成を用いることで、一般的な部屋への認知を変え、空間の広がりを感じさせて、知覚にひねりを加えるのです。」
入り口の扉は、室内を映し出すミラーの引き戸で、写り込んだキッチンが一枚岩のように広がっています。まるで二つの空間を跨いで漆黒の大きな塊が浮かんでいるかのような存在感です。
リビングルームの中心に設えられる「プールソファ」。家族が集い、くつろぐ畳の部屋から発想を得てデザインされました。
スペースは、床と壁面の境をほのかに照らす光の刃で巧妙に仕切られています。壁と天井の温かなグレー色により、影のもたらす印象は抑えられ、陰影の差がかき消されることで柔らかな構成となり、ブラックストーンのキッチンとうまく対比しています。
長いオーク材のテーブルとベンチはこのマンションのために特別にデザインされたものです。食卓に料理や器を運ぶ彫刻的なワゴンも、同様のたたずまいを放っています。
素材は、それぞれの場所の存在感と個性を強調すべく選ばれています。ハンマー仕上げのグラニット製キッチンでは、料理をしたくなることでしょう。
バスルームは瞑想の空間です。露天風呂で過ごす時間からヒントを得て考えられました。アガペ社とともに創ったセンの水栓により、典型的な浴室の様相は消え、すっきり黒一色のアルミニウムとラフな石の壁がコントラストを見せています。唯一、この場所の機能を思いださせるのは、伝統的な木材のスツールと風呂桶のみ。原始的かつ神秘的な雰囲気です。
マットなインテリアに、選りすぐられたオブジェやアートが映えます。抽象的な花というテーマの元に集められたアートにより、室内ガーデンのようです。
縦に敷き詰められた花: Catia Pessoa作 蓮: Cheng Jiang Hong作 人物画: 船越 桂作
撮影: 繁田 諭
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